有機・無農薬・特別栽培どれが正しい?食品表示の見分け方。

表示の見分け方。「オーガニック」「有機」とは、農薬や化学肥料を用いないだけでなく、「農林物資の規格化に関する法律(Japanese Agricultural Standard=一般には頭のアル ファベットをとって JAS 法と呼ばれます)」で定める有機生産の規格に則って生産された もの、そのため有機 JAS という規格で生産・製造されたものを指します。
この「オーガニック」製品を見分けるのはとてもシンプルです。結論からお伝えすると「有機 JAS」マークが付いているものだけ選べばよいのです。ではなぜこの「有機 JAS」マークが付いている食品がよいのか?をこの記事ではお伝えします。本当に正しい商品選びに役立てれば幸いです。

背景にあるのは有害化学物質

世界中の化学物質の数は約 9,900 万種とされている。ただし、そのほとんどは安全性が確認されていない状態なのが現状です。年間 1,000 トン以上生産される化学物質の全てを管理するのは困難であり、特に残留性有機汚染物質(POPs)は有害化学物質の中でも特に有害で厄介な性質を持っています。

 

 

 

その有害化学物質は遠く離れた北極でも、生物を汚染していることが報告されています。1998年7月21日、BBCニュースによると、ノルウェーで雌雄同体のホッキョクグマが発見されたそうです。この奇形のホッキョクグマの種の存続は、私たち人間にもとって深刻な問題です。このような異変の原因は有害化学物質が原因であると考えられています。

一旦、環境中に排出されると、大気や海流に乗って移動し、海の中で魚が有害化学物質に汚染されます。このような性質を持つ有害化学物質は通称 POPs(ポップス)と呼ばれています。POPsとは残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)の頭文字をつないだ略称(語尾の sは複数を示しています)で、また、ダイオキシン類や PCB(ポリ塩化ビフェニル)、DDT、環境ホルモンといった有害化学物質も挙げられます。

 

 

特に有害化学物質の中で有害なものが POPsと環境ホルモン

⚫︎POPsとは
残留性有機汚染物質。環境中に長期間残存し、分解が難しく、大気や水を介して地球規模で移動する、そして脂溶性が高く、生体内に蓄積し、健康被害をもたらす可能性がある。

 

⚫︎環境ホルモンとは
私たち人間を含めた生物の本来のホルモン作用をかく乱する物質を一般に「環境ホルモン」と呼んでいます。これまでに魚類、は虫類、鳥類といった野生生物の生殖機能異常、生殖行動異常、雄の雌性化、孵化能力の低下の他、免疫系や神経系への影響等が多く報告されてます。

 

POPsと環境ホルモンの恐ろしさ

POPs と環境ホルモンは環境中で分解されにくく、また、油に溶けやすい性質を持っています。そのため、POPs と環境ホルモンが野生生物の体の中に取り込まれると、脂肪に蓄積され、継続的に摂取し続けることにより体内のその有害化学物質の濃度が徐々に高くなっていきます。生物濃縮によって、植物プランクトンや動物プランクトンよりもそれを食べる小魚、さらにそれを食べる大型の魚と濃度が高くなっていきます。そして、 捕食者の頂点にいるような野生生物、例えば肉食の哺 乳類(陸上ではホッキョクグマ、海ではシャチやイルカなど)や猛禽類(ワシやタカなど)、さらには人では、 その生態系のなかで最も体内の濃度が高くなるのです。しかも、赤ちゃんに脂肪分の豊富な母乳を与える ような哺乳類では、小さい頃から POPs にばく露されることになるのです

 

こうして長い間 POPs に暴露されるため、人や野生生物の生殖器の異常や奇形の発生、免疫や神経への影響などの悪影響をもたらすと指摘されています。

 

日本では POPs や環境ホルモンの製造・使用を既に法律で原則として禁止していますが、POPsの中には、製造しなくても意図せず生成してしまうものがあります。また、海外では、現在もPOPs を使用している国や、POPsによる環境汚染について十分な対策を取っていない国があります。これらに加えて、過去に使用された POPsが現在もなお日本を含む世界中の環境中に存在しています。

 

 

有害化学物質の代表は農薬

POPsや環境ホルモンが環境や健康に重大な影響を与える有害化学物質であることを述べましたが、ではどんなものに多く使われているのでしょう?

その多くが農薬に使われているのです。 重大な有害化学物質は、工場だけで使われるのではなく、私たちの毎日の食事の中に潜んでいるのです。 農薬の代表は殺虫剤や除草剤ですが、 実は私たちが家庭で使っているものも農薬になりうるのです。

農薬とは農業で使われるものですが、家庭で使う殺虫剤を農業現場 (畑やたんぼ、作物のまわりなど)で使用すれば「農薬」になります。 また、農薬だけではなく化学肥料も合成化学物質でできています。自然界にはなかったものを人間がたくさん作りだし、そしてそれらが私たちの体内や環境中に残留し続け、健康被害、奇形、障害児などに影響しています

 

 

 

オーガニックができた理由

化学的に合成された農薬や肥料が使われるようになると、農業は環境を破壊する産業へと変わってしまいました。化学合成された農薬は、害虫や雑草に劇的な効き目が あることから広く普及しましたが、多くの野生生物と人にも被害をもたらしました。

そのことに危機を感じ世界は動きはじめます。1946年、イギリスでオーガニック機関・英国土壌学会が設立されました。その後も各国でオーガニック農業は広まり、1972 年にはオーガニックの国際機関である IFOAM(国際有機農業連盟)が設立されました。1999 年には CODEX 委員会が国際的なオーガニック基準である「コーデックス有機ガイドライン」を策定しました。日本がオーガニック農産物の規格を施行したのは 2001年です。 日本もこのCODEX 委員会の基準をもとにJAS法を規格しています。

「有機JAS」のJAS 法とは

有機 JAS 法とは、正式には「農林物資の規格化等に関する法律」Japanese Agricultural Standard の通称です。JAS法で定める規格をJAS規格あるいは日本農林規格といいます。

「有機 JASマーク」を食品につけれるようになるには、3年以上圃場に農薬・化学肥料を使わず、 登録認証機関と呼ぶ第三者機関が、その生産や製造方法が有機JAS 規格を守って作られたか、厳しいチェックが行われています。

近隣の農家から水の汚染、農薬の風評被害がないか、農薬使用の農家との距離、道具(手袋・長靴なども含む) を洗浄する洗剤までも指定されています。収穫して運送するトラックは、農薬を使用した野菜とは必ず分けて出荷しなければいけません。袋詰め作業も、有機JAS規定の資格を持った者しか、対応してはいけません。

有機JASマークは、農家が高いお金を払いブランド価値を与えていると誤解している人もいるかもしれませんが、この認証を取るのはとても大変な努力の結果なのです。そのため、詳しい製造方法が詳しく分からなくても、有機JASマ ークが付いている食品を選べば安心・安全だと考えていいでしょう。

 

 

 

有機JASマーク

有機JAS規格を満たす農産物などに付されます。このJASマークを付けて ある食品には「有機○○(トマトなど」と表示できます。
対象 : 有機農産物、有機畜産物、有機加工食品、有機飼料、有機藻類

このマークは左の○が“太陽”を、右のふたつの○が“雲”を象徴していて、太陽と雲が重なり合って“葉っぱ”を形づくっています。これにより化学肥料や農薬などの化学物質に頼らずに自然界の力で育て、そして収穫された農産物であることを表 しています。また、丸みをおびた形が、人にも地球にもやさしいオーガニックの考え 方を表しています。
注意点としては、有機JASマークの下に必ず認証機関名が記載されていることを必ず確認してください。

 

 

禁止されている表示

では、有機JASマークがなく、農薬不使用・化学肥料不使用とだけ記載された食品はどうでしょう?確かに農薬は使っていないかもしれません。でも隣の畑で農薬を使用し流れ出てく水を避ける管理をしているでしょうか?風で、農薬の風評被害がないと言いきれるでしょうか?農家の判断で圃場を管理しているのと、第三者認証機関が判断するのとでは、どちらが信頼できるでしょうか?

また、無農薬=農薬不使用=残留農薬が無いとの誤解を消費者に抱かせる おそれがあるため、2004(平成 16)年4月から施行されている「新特別栽培農産物ガイドライン」では下記の表示は禁止されています。
表示禁止

  • 無農薬栽培
  • 減農薬栽培
  • 低農薬栽培

「無農薬」で栽培したという客観的な証拠が無い限り「無農薬」と表示することは平成 15 年 6 月改正の「不当景品類及び不当表示防止法=景表法」、JAS 法「生鮮食品 品質表示法」違反に該当します。「有機無化学肥料」「有機無農薬無化学肥料」も表示 違反になります。
有機 JAS マークが付いていない場合、強調表示してはならない例

  • 有機
  • 準有機
  • 有機農法
  • 有機率○%
  • 完全有機農法
  • 有機産直
  • 完全有機
  • 有機土栽培
  • 海外有機
  • オーガニック

他にも規定があっても不確か、規定が自治体によって違うことがありますので、下記の表示も見分けれる知識を持っておくとよいでしょう。

 

⚫︎有機農業(規格あり)有機JASマーク
化学的に合成されたたい肥、土壌改良材、 農薬の使用を原則禁止。
周辺からの使用禁止資材(農薬など)の汚 染防止。
収穫、輸送、選別、調整、洗浄、貯蔵、包 装についても規格がある。
生産行程に責任者がいて管理記録を作成。 ・第三者機関が精査。

⚫︎自然農法(規格なし)
・規格がない。なんとなく安心だが、実際は不明。

⚫︎無農薬(規格なし)
・無農薬栽培などの表示は禁止⇒罰則 ・第三者証明がない

⚫︎特別栽培(基準あり)⇒農林水産省のガ イドラインによるものに限る
化学肥料や農薬を従来の 50%減 ⇒県ごとに基準が違うので従来使われて いた農薬の量を知らないと判断できません。

 

まとめ

これまで「有機」「オーガニック」に関して、有害化学物質の背景も含めてお伝えしてきました。自然農法、無農薬栽培、特別栽培、減農薬と記載されている食品は極力避け、有機JASマークが付いている食品を選びましょう

 

 

 

 

 

About Me

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運営者のMariです。内閣府認可 一般財団法人 職業技能振興会認定 オーガニックアドバイザーが、妊娠中から子育てに役立つオーガニックの情報を発信。

幼少期の食物アレルギーと、アトピー性皮膚炎を18歳のとき体質改善し、10年以上オーガニックを取り入れオーガニックアドバイザーの資格を取得。
今日からできる「からだに良いこと」をママ目線「Mummy View マミービュー」でお届けしています。

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